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戦国BASARA2の前田慶次受け語りログ。
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去年あたりから放置気味の幸慶です。 タイトル通りもののけパロですので、苦手な方はご注意を・・・。 というか、政慶本命とか言いながら初めて投稿するのが幸慶かよ。 大好きだからいいんだけどさ!!

『それ』を見付けたのは、本当に偶然だった。
足腰の鍛錬と崖を登り、山を下り、また登っていた途中でふと目に入ったその異物。
よく見れば普段から目にしている物なのだが、しかしそれは正しく異物、と称するのが一番適切な表現なのかも知れない、その物体。
草むらの中に身を潜ませ、まるで草花に守られるように、隠れるようにそれはそこに落ちていた。
そっと手を伸ばし表面を撫でるように触ると、ほのかな暖かみがじんわりと手の中に広がる。
それは即ち、生きている、と言う証で。
しかし見れば見るほど奇妙な物だと幸村は首を傾げた。
周りをきょろきょろと見渡し近くに持ち主がいないかを探すが、それらしいものは何処にもない。
下から掬い上げ持ち上げると、ことり、と微かに動いたような気がした。
それに驚いて思わず落としそうになり、幸村は慌てて両腕でしっかりと胸の中に納めた。
じわりじわりと伝わる温もり。
それは、知らず幸村の顔に笑みをもたらしていた。
それにしても、と幸村は腕の中の物をもう一度確認する。
全体的に見れば黒いではあるが、しかし所々に薄桃色の斑点があり、しかも上から下に掛け色は完全に薄桃を基調とされていた。
黒いものは何度か見たことはあるが、しかし大抵は全体的に黒一色で、このような色は見たことがない。
斑点も見ようによっては花びらにも見え、その周りを筆で描いたような線が風を彷彿とさせまるで夜闇で花びらが風に舞っているようにでも見える。
今度は落とさぬように気を付けながら、来た時は違うなるべく安全な道を選んで、幸村は上田へと帰路を取った。
腕の中に、不思議な色をした『卵』を、しっかりと抱き締めながら。





最近主人の様子がおかしい、と気が付いたのはいつのことからだろうか。
おかしいと言えばそう、いつでも呼び出しに応じれるように真田隊は交代で、しかし手が空いていれば全員が常に主人の側に使えているもの。
普段はなるべく気配を消し屋根裏や壁、もしくは床下に隠れている時などもある。主人が望めば目に見える位置に従えている時などもある(この主人は忍者を何だと思っているのか、後者の時の方が多かったりもするのだが)
しかしそんな主人が、ここ数日それすらいらない、と言うのであった。
即ち、側にいることを許さない、と言う。
目に見える範囲。姿が見える位置。主人から自分たちの姿は当然だが、自分たちの目からも主人が入る範囲にいてはいけないのだと。
始めは何の遊戯だと思ったが、しかし当の本人は至って真面目な顔でそれを告げてきた。

当然、夜の見張りもいらないのだと。いやそこはいなきゃ駄目でしょと進言してみたが、やはり真面目な顔で「いらぬ」と断言されてしまった。

(ったく、何を考えているんだかうちの旦那は・・・)

いつもは分かり易すぎるくらい分かり易い性格のだが、こういう時は本当に何を考えているのやらサッパリだから困る。
その主人も、本日は更に上の主人、武田の御館様に呼ばれて躑躅ヶ崎へ出向いているため、今は不在であった。
(ここ最近激しい動きもないし・・・何かあったら自分でどうにかするだろうけどさ)
しかし、その前に事を静かに治めるのが自分たち忍者の役割だというのに。
そこんとこ分かってくれているのかね、と思わず口から文句が出るのも仕方ないこと。
まあ、鬼の居ぬ間の何とやら、と少しだけ午睡をしようと松の枝に身を横たえると、ふと目に入ったのが幸村の部屋。
その真ん中に、敷きっぱなしの布団があった。
時は既に正午を少し廻っていた。
主人はそれこそ鶏が鳴くよりも早くにこの城を出ている。
と言うことは、アレはその時から放置していると言うことで。

「お姉さんー、旦那の部屋、片付け終わってないんじゃないの?」

すぐ下で落ち葉を掃いていた女中に声を掛ければ、その身体がびくりと震えた。
「ここ、ここ。アンタのすぐ上だよ」
「・・・まぁ、佐助さん。そんなところでお昼寝ですか?」
「ああ、まあ、働き過ぎも良くないってね。たまには骨休みなんかしちゃったりして」
「幸村様に見付かったらお小言所じゃありませんよ?」
くすくすと笑う女に「だからこれは内緒ね」と指を口に当てれば、「仕方のない人」と更に笑われてしまった。
「それよりもさ、旦那の部屋、まだ片付けが入ってないのかい?」
それに首を傾げ何事かと考えていたが、手に持っていた箒を落としぽん、と手を打つ。
「ああ、佐助さんは聞いていらっしゃらないのですね?幸村様のお座敷は、今立ち入り禁止になっているんですのよ」
「・・・はい?」
「掃除は自分でするからって絶対誰も入れてくださらないの。私たちも惨状が気になって入るんですけど・・・見付かったら、それこそ大事ですからね?」
だから、片付けどころか足すら踏み入れられないのだと女は言う。
ここ数日おかしいとは確かに思っていた。思っていたが、しかしそれほどとは。
眉根を寄せ、佐助は身を屈め、そこから『飛んだ』。
それに慌てたように女が「見付かったら大事ですよー」と告げてはいるが、そんなことに構っていられるはずがない。
自分たちどころか女中すら中に入れないと言うことはつまり、何かを『隠す』為に幸村が自分の部屋を選んだと言うこと。
ただ物を隠すだけならば押入なり天井なり床下なりに隠せばいい(だから側にいるな、と言ったのだと思っていた)
しかし、しかし、そう言った隠し事でないと言うとは。
すとん、と静かな音を立て幸村の部屋の前に身を下ろし、構わず部屋の中に足を踏み入れる。
目指すは敷かれ放しの布団。
遠目では分からなかったが、上から見下ろせば不自然なほどの膨らみがそこにはあった。
珍しい、まさか女でも、と思ったが、形、大きさから見て明らかに違う。
ごくり、と喉を鳴らし、上掛けへと手を伸ばした。


直後、悲鳴とも怒りともつかない叫び声が、上田の城に響いた。
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