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戦国BASARA2の前田慶次受け語りログ。
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難波と夏コミとドームで配布させていただいたペーパーの小話を今更アップするってどうだろと思いつつ晒させていただきます。
用具と保健は日常的に一緒に色々と行動してればいいんだよ!!!
っつーか本気で最近保健が可愛くて仕方ないんですがどうしたらいいですかねこれ?どうしたらいいですかね!?( 知 ら な い よ )

相も変わらずヘタレ駄文で申し訳ないッス・・・っ!



**用具と保健とそんな日常。**


忍術学園の先の峠に、ひっそりと隠れるように建っている茶屋が一軒あった。
ひっそり、とはいえ一部の人間の間では大評判の茶屋で、特に団子が美味いと大人気になっていた。
今日もその一部の人間がたくさんの連れを引き連れて、小さな店の軒先は中に入れ切れない客で大盛況となっていた。
「おやっさーん、代金ここに置いてていいかいー?」
少年とも言いがたい、青年直前独特の声が店内に響き、それに「あー、いいよぅー」という返事が返ってくる。
そのやり取りを横目で見ながら、食べているときに思っていた疑問が確信になったな、と伊作は苦笑を漏らした。
「何だよ」
「いや、留三郎がいつも保健室に持ってきてくれるお土産、いつもここで買ってたんだろう?」
そう言われ、留三郎は「あー」と視線を余所にやりながら頬を掻く。
「相変わらずいい味してるね、ご馳走様。でも」
言いかけた言葉が、後ろからどすんとぶつかってきた塊で遮られた。
振り返れば自分の足の片方にぎゅっとしがみ付き、こちらを伺うように見上げる瞳とぶつかった。
「伏木蔵」
「あの、あの、食満先輩…」
自分に向けられていた視線が目の前の青年に移り、こそこそと隠れるように呟いていた姿が終いには顔を半分伊作の足に押し付けてしまった。
「ん?どうした?」
それに気付いて、屈んで同じ視線になりにっこりと微笑むと、半分だけの顔がますます小さく伊作の後ろに隠れてしまう。
「あー、こら、留三郎。何うちの子を虐めてくれてんのさ」
「なっ!!誰が虐めてんだよ!!人聞きの悪いこと言うなよ!」
そう叫ぶと、からかいの含んだ笑い声が頭の上に降ってくる。
「あのなあ」
「伏木蔵。ほら、ちゃんと言わないと分からないよ」
伊作が自分の後ろに隠れる伏木蔵の背中を押し促していることに首を傾げていると、伊作の袴をぎゅっと掴んだ伏木蔵がもう一度「あの」と声を出した。
「あの、あの、食満先輩、凄く…美味しかったです…」
搾り出すように言われた言葉に思わず抱き締めたい衝動に駆られ、勢いのまま手を伸ばそうとしたところで後ろからどしりと明らかに重量オーバーな体重が圧し掛かってきた。
「……っ!ま、て、お前ら…」
寸でのところで前に倒れこむことは避けたが、いきなり襲い掛かってきた重力にそのまま動けなくなった。
「あーもう、何やってんだよお前ら!ほら、留三郎先輩に迷惑だろ!降りろ!」
「えー、でもぼく達も先輩と遊びたいですー」
「どう見たら遊んでるように見えんだよ!いいから降りろ!先輩苦しそうだろ!!」
「いや、作、これくらい…」
「平気なわけないでしょ!明らかに顔が青いじゃないですか大丈夫っスか!?」
いいから降りろ、と言う叫び声と共に圧しかかっていた重圧が軽くなり、叱り飛ばす声を苦笑しながら聞いていると、ふわふわの茶色い髪の毛が留三郎の顔を横から覗き込んでいた。
「どうした?乱太郎」
「大丈夫ですか?しんべヱの体重は土井先生のお墨付きですから…」
そうかあの体重はは組担任の土井先生も悩んでいるのかと納得し、「大丈夫だ」と乱太郎の頭を撫でてやる。
「あと、今日ありがとうございました。先輩のおかげでたくさん薬草を採ることが出来ました!ね、伊作先輩」
そう言って見上げた視線に気が付き、「そうだね」と留三郎に加えて伊作の手までもが乱太郎の頭をくしゃりと撫でる。
「もーう、やめてくださいよ二人とも!私の頭がぼさぼさになるじゃないですか!」
「乱太郎の頭はもともとぼさぼさだろう?」
「ひどいです食満先輩ー!そりゃ私の頭はぼさぼさですけど…」
しゅんとなる頭を今度はなるべく優しく撫で、「すまんすまん」と謝る。
「今度また団子持って行ってやるからそんな顔をするな」
「あ、お団子も美味しかったです!ご馳走様でした!」
「あぁ、そのことなんだけど」
乱太郎の言葉で気が付き、懐に入れた手を留三郎が止める。
「いいよ、大した額じゃない」
「え、でも」
「保健委員にはいつも世話になってるんだ。これくらいはさせてもらわないと罰が当たる」
「でも私たちも用具委員にはいつも棚を直してもらってるけど」
「あー、いや…そうだな、じゃあ今度みんなで町に出たとき、しんべヱに案内してもらってうどんでも奢ってもらうかな?」
にか、と歯を見せ笑う留三郎に、仕方ないなと苦笑しながら手を離した。
「じゃあ今回はご馳走になろうかな。ありがとう」
「いや、どう致しまして」
そしてそのまま乱太郎の頭で勢いを付けて立ち上がると、くるりと後ろを振り向いて声を掛けた。
「よし、お前たち食ったな。帰るぞー」
「あ、待ってください!しんべエ、ちょっと」
ようやっと作兵衛の説教から開放され荷物を背負おうとしていたしんべヱの腕を、乱太郎が引っ張る。
「なぁに?どうしたの?」
「今いくら残ってる?私のと足して足りるかなー」
「あ、うん、大丈夫だよ!ぼく今日はちょっといっぱい持ってきたんだ!」
「何してんだ?」
覗き込めば、お互いの財布の中身を手のひらで勘定していた乱太郎の顔がにこりと微笑んだ。
「ここのお団子凄く美味しかったから、きりちゃんにも買って帰ってあげようかと思って。今日アルバイトって言ってたから、きっと凄く疲れてると思うんです」
疲れたときには甘いものって言うでしょ、と言う言葉に、隣で見ていた喜三太が「えー」と声を上げた。
「だったらぼくも金吾に買って帰ってあげたーい。ね、ぼくもお金出すからは組のみんなにお土産買わない?」
「あ、いいねそれ!じゃあ土井先生と山田先生の分も買わないと拗ねちゃうよね!」
お互いの手を叩き合い「そうしようー」とお金を混ぜ合わせ、三人は嬉しそうに店内に入って行く。
その後を、伏木蔵と平太が仲良く入って行くのを留三郎が声を掛けると、「えへへ」と嬉しそうな二つの顔がくるりと振り返った。
「ぼくたちもろ組のみんなにお土産買って帰ろうと思って…」
「食満先輩が教えてくださったお団子屋さん、凄く美味しいんだよってみんなに自慢したいんです…」
不意打ちでにこりと微笑む平太の言葉に、伊作は「おやおや」と苦笑を漏らす。
一年ろ組の二人を見送るその背中は、如何にも叫びだしたいのを我慢している姿そのもので。
「良かったね、自慢したいんだって」
「う、るさい!!聞こえてたよ!」
「我慢しないで抱き締めてあげたらよかったのに」
「あのなあ、ここは一応街道だぞ。そんなこと出来るかよ」
「へぇー、じゃあ委員会だったらいつもしてあげてるんだ?」
「そりゃ思いっきり…って、何を言わせんだよ!」
楽しそうに話している上級生を「また始まったよ」呆れながら見ていると、横から数馬が「作ちゃん」と駆け寄ってきた。
「どした?」
「ぼく達も買って帰らない?きっとみんな喜ぶよ」
ふわりと微笑む顔に口に指を当てて一瞬考え、そうだな、と懐から小銭袋を取り出す。
「数馬、いくら持ってる?」
「ぼくはこれくらいかな。作ちゃんは?」
「俺は…これなら一人三本はいけるんじゃないか?」
「そうだね、みんなでお茶をしながら食べようか」
「そうだな。…あー、あいつらちゃんと大人しくしてっかなー…」
そう呟いて思い出すのは、同室の迷子二人で。
「今日中に食べれっかなー…」
「じゃあ早く探す為にもさっさと買って帰らないと。ほら、早く早く」
「ちょ、数馬それ既にあいつら迷子になってる前提じゃねえか!?」
「いいから早く早く」
お前らもたまには手伝えよ!!と叫び声を残し、三年生二人も店内へと姿を消した。
「よし、じゃあ左近は私と半分こにしようか?」
突然振ってきた言葉に、左近の身体がびくりと飛び上がった。
「え、何がですか!?」
「左近もみんなにお土産買って行くんだよね?だったら、その中に六年生の分も混ぜて、二人でお土産持って行ってあげようよ」
「意味が分かりません」
「一人で選ぶより二人で選んだほうが楽しいよ。それにたくさん「ありがとう」をもらえるから私も得した気分になるんだけどな」
笑顔で覗き込まれて、言い掛けた言葉が詰まってしまう。
それから懐に手を当て、おずおずと小銭袋を取り出した。
「でも僕、今日はあまり手持ちが…」
「その点は大丈夫だよ。今日は留三郎がみんなの分出してくれたから、その分私の懐が暖かいんだよ。それに、いつも頑張ってくれている左近にたまにはそれくらいさせてもらってもいいよね?」
にっこりと微笑を浮かべられ、左近の顔が真っ赤に染まる。
「じ、じゃあ、今日だけ、でしたら」
「荘だね。今日のところは私が多く出して」
「今日だけ、です!次はゃんと持っていきます!」
「うん、今日のところは」
「だから!!」
「伊作、あいつらにも買って行くのか?」
放っておいたらいつまでも続きそうな言い合いに、留三郎が戸惑いなく声を掛けた。
「うん、当然だよ。みんなも喜ぶと思うし」
「だったら俺も」
「「留さん」「留三郎先輩」は駄目(です)」
二人同時にぴしゃりと言われ、留三郎は出しかけた言葉をぐっと飲み込んだ。
「何でだよ、俺だけ仲間はずれにするな」
「仲間はずれとかじゃなくて」
「先輩は用具と保健全員の分を出してくださったんですから!駄目です!」
「それは日頃の御礼も兼ねて」
「だったらこの間保健室の棚を直してもらったお礼、まだしてないよ?」
「だからそれは今度うどん奢ってくれるんだろ?」
「それは先月直してもらった分。この間のとは別」
「っつーか大体直すのは俺たちの仕事だろ」
「だったら怪我を治すのも私たちの仕事だから、今回だって本当は割り勘にするのが当たり前だろ?」
「あーもう、分かったよ」
俺の負け、と手を挙げ、もういいから早く買って来いよ促せば、二人は嬉しそうな顔で店内へと入っていった。
その後ろ姿を見ながらぼりぼりと頭を掻き。
「ったく、これぐらい何でもねえってのにな」
そう呟いて見上げた空は清々しいほどにどこまでも青が広がっていて。
背中越しから聞こえるいくつもの楽しそうな声に「早くしろよー」と苦笑しながら声を掛けて、軒先の椅子にもう一度腰を落とし既に冷え切った、まだ少しだけ残っていたお茶を飲み干した。
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