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戦国BASARA2の前田慶次受け語りログ。
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とちこさんから聞いて、じゃあ作がどっかの城の子とかだったら萌えるよね!!!とか言う話をしてたらいつの間にか出来上がってしまった話。


何か勢いで途中まで仕上げたけどぶっちゃけ続き書く気はなかったり・・・多分、無い。うん、ないない。


だってコレ書きながら、私ってやっぱシリアス向いてないわーとか、本気でおもっちゃっ・・・っ!








遠くで勝鬨をあげる勢いの良い声が聞こえる。
まだ気が早えだろ、と一人ごちながら、作兵衛はぎり、と奥歯を噛み締めた。
篭城を続けて早5日目。
元々少なかった兵糧もほとんど底を着きだし、兵たちに疲労の顔は隠せなくなってきていた。
ドウン、と左方で激しい爆発音を聞きながら、臼砲まで持ち出しているのかとざわつく胸を抑える。
どうしようもない焦燥感に襲われていると、背後で気配を感じ作兵衛は視線だけを寄越した。
「爺か」
「はっ」
「兄上は、どうなった」
「手筈通りに」
その言葉を聞き、それまで発していた焦燥感が少し和らぎ、作兵衛は知れず安堵の息を漏らした。
「そうか・・・悪いな、爺にそんな役目やらせちまって」
「何を仰います。この爺めは、作兵衛様の役に立ってこその存在。なにもお気になさいますな」
「うん、ありがとう」
口端に笑みを零し礼を言うと、作兵衛は踵を返し、奥へと歩を進めた。
「若」
呼び止められる言葉に振り向く気などなく、進む先にある襖に手を掛け、横に開く。
その先にあるのは、質素ながらも丁寧に作りこまれた、武具が佇んであって。
「若、早まりますな」
後ろから追い掛けてきた老兵に腕を掴まれ、作兵衛はようやっとそこで目を合わせた。
「若」
「くどいぞ爺。これは、この策を表に出したことから決められていたことだろう」
「しかし、何も若が犠牲にならずとも」
「俺のほかに誰が、兄上の身代わりになれると言うのだ。何度も言うが、これはこの策が・・・いや、俺が忍術学園に入った時から、決まっていたことなんだ」
縋るように腕を掴む老兵に視線を合わせるように腰を落とし、作兵衛はなるべく穏やかに、「爺」と言葉を掛けた。
「分かってくれ。これは俺がこの世に生を受けたときから決まっていたさだめなんだ。この城に害があれば、その時はまず兄上を助け、俺が身代わりとなる。それは、俺が弟と生まれたことの唯一の、存在意義なんだ」
「しかし、それでは幼少の頃より若をお育てしたこの爺めは!爺はどうなさいますか!」
「爺はもう年だろ?残りの余生、自分のために使えよ。もう、俺に縛られることないよ」
しかし、とまだ掴む腕を無理やり払いのけ、廊下に老兵を置き去りにしたまま襖を締め切った。
「若!」
「爺は兄上に従い着いていってくれ。今ならまだ間に合う。兄上が生きてさえすれば、富松の血は安泰だ。これからの富松を見守ってくれよ。なあ、爺。


いままでありがとう」



途端、まるで予測されていたかのように廊下と奥部屋を支える天井が落ちてきた。
長年の経験で寸でのところで回避はしたものの、奥部屋へと続く道は完全に塞がれ、作兵衛を止めることは勿論、追うことすら叶わなくなり今は木屑と成り果てた天井の梁に手を伸ばし、声を押し殺して涙を流した。





後ろで天井が落ちる音を耳にしながら、作兵衛はこの城もそろそろお終いかと息を吐く。
目の前に座している武具の、兜を手にすれば、鉄で出来たそれがカタカタと音を鳴らした。
あちらこちらでなる砲弾のせいかと思ったが、よく見ればそれは自分の腕から来ている震えで。
自分に長らく仕えた者にはそれがさだめだと言い聞かせておいておいて、自分はその様かよ、と自分でさえ気付いていなかった震えに、作兵衛は叱咤するように兜を握り締めた。

「作」

突然背後から声を掛けられ、びくりと肩を震わすが、その聞き覚えるある声に張っていた警戒の糸をすぐに解いた。
「三之助か」
「ん」
「外は」
少ない言葉の端に全てを読み取り、三之助は口に指を当てて「んー」と唸った。
「正門はだめだな。完全に落ちていた。西の櫓と桜の門も火の手が上がってた」
「そうか」
「あと、外にいた爺さん、一応抜け道まで連れて行ったから」
そう言ってにっと笑う三之助に、作兵衛は深く溜息を吐いた。
「・・・・・・どうせ俺のとこまで連れてけって言われて、連れてく途中で気が付いたらそこにたどり着いてたんだろ。ついでにそのままケツ叩いて押し込んだってとこだろ?」
そう言われて三之助はぽり、と頬を掻く。
「図星か。ったく、お前の方向音痴も相変わらずだな」
「だけど、結果的に作のいい方向に行っただろ?」
ほめて、と言わんばかりに惜しむことなく笑顔を向ける三之助に、掴んでいた兜を力の限り投げつけた。
それを難なくかわせば「避けるな!」と呶鳴られてしまい、無茶を言うと思いつつもそれが作兵衛の照れ隠しだと知っているだけに、三之助は苦笑しつつも何も言わない。
代わりに、壁にぶつかって跳ね返ってきた兜を手に取り、作兵衛に向かって放り投げた。
「作、大事な兜だろ」
「分かってるよ!」
「だったらちゃんと持ってろよ」
そう言われ、手元に戻ってきた兜をぎゅっと握り締める。
よく見ればそれは傷だらけで、更に汗と、血の臭いがツン、と作兵衛の鼻を掠めた。
「なあ作。外の爺さんが言ってたけど、お前、殿さんの身代わりになるって」
「ああ、前に話したろ?俺がここにいる意義は、俺が生きている存在意義は、全て兄上のためだって」
「でも、その殿さんももうとっくに逃げ出したんだろ?」
「逃げたんじゃない。嫌がる兄上を無理矢理追い出したんだ。あの人は最後まで、ここに残るって言ってくれたんだ」
そう、身代わりになる必要などないと言ってくれたその人を、その言葉が本当に嬉しくて。
幼い頃からお前は身代わりだと教え込まれていた。
それをいつもただ一人だけ、全部で否定してくれたのがあの人で。
それが本当に嬉しくて、作兵衛は兄のためなら、全てを投げ出そうと心に決めていた。
「だから、いくら三之助でも兄上を悪く言うのはゆるさねえ」
「悪くなんて言ってないさ。作の兄ちゃんだし、何より、俺を信じてくれた人だし」
「だったら」
言いかけて、すぐ横の壁から炎が勢いよく流れ込んできた。
「な、もうここまで火の手が上がってんのか!?」
「あ、忘れてた。悪い、もう駄目だと思って上火使ったんだよ」
「あのな、そういうことは早く言えよ!」
「うん、ごめん、なあ作」
「何だよ!」
早くしないと、と続けようとした言葉が、喉から出てこなかった。
代わりにごほ、とむせ返る息と、腹に受けた鈍痛に作兵衛は前へと身体を崩した。
「ごめん」
「なに、さんの・・・」
意味が分からない。
何がごめんで、何をしたんだ。一体。
聞きたいのに、霞む視界で少しずつ三之助の顔すら捕らえることすら出来なくなってしまって。
ごとり、と手にしていた兜が落ちる音を最後に、作兵衛は意識を手放した。
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